グローバル人材とは、国内・国外かかわらず、幅広いビジネスシーンの中で多くの分野で結果を出せて企業に貢献できる人材を指します。今後、海外の需要が増え海外でも活躍できる人材が重要であるため語学力やコミュニケーション能力が高いなどが必要とされます。この記事では、化粧品業界に求められているグローバル人材や育成方法、取り組み方法の事例についても紹介します。
グローバル人材の育成が注目される理由は
日本製の化粧品は高機能や高品質、安心・安全が高く評価されインバウンド需要が増大している。化粧品市場では、アメリカや中国に次いで世界第3位の化粧品大国です。しかし、欧州では化粧品に対する環境規制の厳格化や持続可能な開発目標に対する消費者意識の高まりなどを踏まえた対応も求められていたり、韓国や中国の化粧品メーカーの台頭により、アジア市場におけるグローバルな競争が激化してきてあります。
このような現状によって、日本の化粧品業界での競争力強化、継続的な発展を目指すために海外市場での需要をいかに取り込むことができるかがカギであり、グローバル人材の育成が必要不可欠とされているためです。グローバル人材にとってどのような能力が必要とされているのでしょうか。必要な能力とされている4つ挙げられます。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力とは、外国語を自由に使いこなすだけではありません。相手の言っていることを理解し、作業をスムーズに進めることのできることも能力と言えます。自分の主張を通すだけではなく、相手側の意見なども尊重して双方が納得できるポイントを探し纏めることができるのはコミュニケーション能力の高いスキルが必要となります。
外国語能力
コミュニケーションする上では絶対に必要な能力です。外国語で会話が出来るというのは普通のレベルであり、ここでは、スムーズに交渉なども進められることです。さらに論理的な思考や問題解決が出来る能力も必要とされます。
主体性
海外で活躍するためには自ら行動を起こして解決していかなけばいけません。さらに新しいことにも挑戦してみるなども必要なことになります。主体性があるとは、周囲の意見や指示を聞いて動くのではなく、自分自身の考えを持って問題に取り組む性質を持っていることです。
何をすべきかを自ら考え、そして行動することというのはとても大事なことです。しかし、現在の若い世代は保守的な行動をとることが多い傾向にあり、難しいスキルになります。
リーダーシップ
化粧品業界に限らず、必要とされている能力です。グローバル市場で活躍するには必要不可欠な能力です。主体性があるということにも繋がりますが、自ら判断して責任もって行動する、意見を言え周りを纏めることができるということはリーダーシップが取れるということになります。
求められるグローバル人材の育成方法とは
今、求められているグローバル人材の育成方法とはどういうものがあるのでしょうか。
育成するための方法は段階を踏んで進めていかないといけません。
- ステップ1:対象者のリストアップ
- ステップ2:育成するための課題点をリストアップ
- ステップ3:人材育成するためのスケジュールを策定
- ステップ4:育成のための研修、PDCA
- ステップ5:配属先の決定
ステップ1:対象者のリストアップ
育成するための対象者をリストアップすることから始まります。多くの観点からの条件であったり、スキルなどを点数化して優先順位をつけるなどをしてリストを作成します。対象者全員が必ずしも想定通りの人材になるとは限らないので、数人ではなく数十人、数百人規模でリストアップするのがいいです。
ステップ2:育成するための課題点をリストアップ
育成するためにそれぞれに補うポイント、足りていない能力、課題点は何があるのかをリストアップして整理することが必要となります。これは、短期間で育成するのではなく、長期間で計画をもって解決していけるような視野が必要とされます。
ステップ3:人材育成するためのスケジュールを策定
人材育成の候補者、育成するための課題などをリストアップした上で、それぞれに沿った育成計画(スケジュール)を作成していきます。海外戦略など見据えた上で経営計画なども踏まえ、いつまでにどのような人材にしていくかを考えて計画します。この計画の中には、オンライン研修なども取り込むことが必要です。明確なイメージ像などがあると教育を受ける側のモチベーション維持にも繋がります。
ステップ4:育成のための研修、PDCA
実際に研修など行い育成が始まりますが、PDCAをまわしていくことが必要です。
PDCAとは、「Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)」のことです。
育成を続けていくにつれて最初の計画からずれてしまったり、思うように人材が育たず進まなくなることがあります。もしかしたら、途中であきらめてしまい退職してしまう可能性もあります。育成側は常に変化を分析して臨機応変に計画を変更したり対応をしなければいけません。それには、PDCAをまわしていかなければなりません。
ステップ5:その後の配属先の決定
育成計画が終了したら、配属先を決定します。最初にリストアップした時点での計画とは変わってくる可能性はあります。それは、成長レベルであったり、本人の意思が変わったりなどです。ビジネス計画であったり、本人の意思などと合わせて配属先を決めることが望ましいです。
人材育成方法の取り組み企業事例
ここでは、グローバル人材の育成方法の取り組みの企業事例として、資生堂の事例を簡単に紹介します。化粧品業界でも巨大な市場で競っていかなればならず、海外展開は必須であり、そのためにはグローバルな人材を計画的に育てる必要があるということから2006年から取り組みがスタートしました。
「魅力がある人で組織を埋め尽くすこと」を掲げ、未来に通用する人づくりを目指すために3つの宣言を策定しました。
- 自立性
- 変革力
- 美意識
2007年からは企業内大学を設立し、階層別、分野別などの100講座以上の社員研修が行われています。社員は7つの分野のいずれかに配属されてそれぞれの育成が加速しています。現在では、グローバルな人材育成やマネージメントを進めるための体系が整備され、具体的な取り組みも加速させていて、現地法人社員を中心とする育成について、実現のための人材基盤としてグローバル共通の資生堂グレードの導入を進めている。
研修体系は以下のようになっています。
- SGLP:資生堂グローバルリーダーシッププログラム
- SRLP:資生堂リージョナルリーダーシッププログラム
SGLPは社長を筆頭に多くの経営トップが参画して、グローバル視点での経営感、リーダーシップ論などを経営視点からの研修となっています。SRLPは現地法人の社員を対象にしており、リーダーシップの形成について重点をおいた研修となっています。これ以外にもグローバルビジネス研修、若手社員対象のグローバルキャリア開発プログラムなども推進されていて、全世界で活躍できる「新しい資生堂人づくり」をまい進していくことを考えて育成方法に取り組んでいます。
まとめ
この記事では、グローバル人材の育成方法や事例を紹介しました。今後、日本は少子高齢化の影響で人口が減少して海外からの労働者が増えます。海外の方と仕事をする際に、必要なスキルは多くあります。この記事を読んで将来、海外の人と仕事をしたいという方は必要なスキルを伸ばしてみてください。