化粧品OEMを利用してオリジナル化粧品の開発を行う際、頭の中で思い描いている化粧品を可能な限り具体的に化粧品OEMへ伝える必要があります。
この際に作成しなければならない書類が商品企画書となります。
今回の記事ではオリジナル化粧品開発を行う際の商品企画書の書き方などについてご説明したいと思います。
化粧品OEMを利用したオリジナル化粧品開発の流れ
まず最初に、化粧品OEMを利用したオリジナル化粧品開発の流れについて簡単にご説明したいと思います。
化粧品OEMを利用してオリジナル化粧品を開発する主な流れは以下となります。
- 理想とする商品像やコンセプト、販売計画を立てる。
- 商品企画書を作成する。
- 化粧品OEMへコンタクトを取り、商談を実施。サンプル依頼を行う。
- 化粧品の容器を決定する。
- 処方決定を行う。
- 安定性試験を実施する。
- 製造を行う。
- 品質検査後、商品が納品される。
一連の流れを書くと、あまり時間がかからないようにも見えますが、試作サンプルの調整や安定性試験などを踏まえると、開発着手から納品まで大まかに約1年程度かかることがあります。
更に、化粧品OEMによっては希望のロット数に対応できない企業もあるため、販売計画を立てた段階で化粧品OEMにロット数の相談をすることをオススメします。
この流れでは開発依頼を行う化粧品OEMが既に決まっている場合のケースとなります。
どのような化粧品OEMがあるかわからない場合や、どのような化粧品が開発できるか具体的なイメージが湧かないという場合は、まず最初に化粧品開発展などの展示会へ参加して情報収集を行うことをオススメします。
化粧品展示会は年に数回、東京や大阪などで開催されており、国内外の化粧品OEMや原料メーカーが自社の開発品や取扱商品を展示しており、実際の商品に触れたりその場で商談を行うことができます。 化粧品OEMを利用した化粧品開発や化粧品展示会については、他の記事で詳しくまとめてますので、宜しければそちらもご参考ください。
https://info.bentenmarket.com/oem/about-exhibition/
商品企画書の作り方とポイント
それでは商品企画書はどの様に作成すれば良いのでしょうか。
ここでは商品企画書の作り方や記載項目、どの様なポイントに気をつければならないかをご説明したいと思います。
商品企画書作成の事前準備
まず商品企画書を作成する前に、作ろうとしているオリジナル化粧品の市場規模や客層、どの様なニーズがあるかなど多方面での調査を行う必要があります。
この過程は市場調査とも呼ばれ、主にどの年齢層のユーザーが、商品に対して何を求めているか、どの様な価格帯なのかなど、細かくセグメントしながら調査を行います。
商品開発全体の方向性を決める調査のため、オリジナル化粧品開発を行う上で最も重要なものとなります。
市場調査が完了したら、いよいよ商品企画書の作成に進みましょう。
商品企画書の記載内容
商品企画書を書く際は、以下のような項目について記載していくのが一般的です。
それぞれ項目ごとにご説明いたします。
- 商品イメージ
思い描いているオリジナル化粧品のイメージイラストや写真などを載せます。
この商品イメージを通じて化粧品OEMは容器の提案なども行うことができるため、理想とする化粧品像がどの様な外観であるかを、可能な限り具体的に伝えることが重要です。
- 商品名
発売する商品の顔となる名前を記載します。商品名はユーザーにその特徴やブランド名などを伝えるものであるため、その商品がどのような商品であるか分かりやすいものである必要があります。他社との差別化を意識するあまり、独創的な名前を付けてしまったがため、どのような商品かよく分からなくなってしまわないように注意しておきましょう。
また、商品名を考える際は薬機法に則った内容である必要があります。
化粧品を販売するにあたり、商品名とは別に、化粧品製造販売名を都道府県の薬務課へ提出する必要があります。
化粧品製造販売名の付け方には下記の決まりがあり、商品名の場合も同様とされているため注意が必要です。
(ア) 既存の医薬品及び医薬部外品と同一の名称は用いないこと。 (イ) 虚偽・誇大な名称あるいは誤解を招くおそれのある名称は用いないこと。 (ウ) 配合されている成分のうち、特定の成分名称を名称に用いないこと。 (エ) ローマ字のみの名称は用いないこと。 (オ) アルファベット、数字、記号等はできるだけ少なくすること。 (カ) 剤型と異なる名称を用いないこと。 (キ) 他社が商標権を有することが明白な名称を用いないこと。 (ク) 化粧品の表示に関する公正競争規約に抵触するものを用いないこと。 (ケ) 医薬品又は医薬部外品とまぎらわしい名称を用いないこと(例えば、○○薬、薬用○○、漢方○○、メディル○○、○○剤、アトピー○○、ニキビ○○、アレルギー○○、パックで「○○ハップ」等 。
引用:改正薬事法の施行に伴う製造販売の承認を要しない医薬品等の取扱い等について
- 商品コンセプト
商品コンセプトとは、商品の具体的な説明です。「この商品がどういったもので、購入したユーザーにどんなベネフィットがあるのか」を分かりやすく具体的に記載します。
企画書を読んた化粧品OEMの担当者に、商品を購入したユーザーのベネフィットを分かりやすく伝えることが重要なポイントとなります。
- ターゲット層またはペルソナ
「オリジナル化粧品を誰に売りたいか」ということを記載します。
ターゲット層は「30代・女性・会社員」というように、ある程度の幅を持たせた属性を指します。
ペルソナとは、それより更にリアリティを持たせた人物像を指します。
例えば、企画するオリジナル化粧品を買っていただけるような消費者像をイメージし、「30代・女性・会社員」だけではなく、仕事内容や年収、家族構成、休日の過ごし方など細かに設定します。
このペルソナ設定では、多くの情報やデータをもとに一人の具体的なユーザーを作り出すことができます。
ペルソナ設定が的確に行われることにより、「このユーザーが満足するもの」を意識しながら開発検討することができ、商品が販売された際に、市場の需要とのズレを最小限に抑えることができます。
- 訴求内容
訴求内容とは、ユーザーに対して商品の魅力を伝え、購入意欲を促す重要なポイントです。ユーザーに対して特に訴えたいポイントや、商品として推したいポイントを記載します。
例えば、「〇〇エキスを潤い成分として配合しており〜」などの機能的な訴求や、「大容量で〇〇円」などのような価格面での訴求があります。
- 販売価格
商品の販売価格はユーザーにとって商品を購入する上で重要な項目です。安すぎると商品としての効果が心配になってしまったり、高すぎると手に取ってもらえないこともあります。また、販売するメーカー側にとっても重要な項目であり、安く設定してしまうと利益が上がらず、高く設定してしまうと購入率が上がりません。
商品開発にかかるコストを抑え、ターゲットが心地良く購入できる価格を設定する必要があります。
- 発売時期
商品の販売時期も重要な項目の一つとなります。
例えば季節限定品が競合他社から発売される時期を避けたり、あえて同じ時期に合わせたりなど、戦略が問われるためです。
また、商品の開発期間としても発売時期の設定は重要であり、発売時期までの余裕があればあるほど商品の検討期間を設けることができます。
- 販売戦略
販売戦略は、ターゲットとするユーザーが商品を知り、購入するきっかけを作る施策のことです。
「商品サンプルの配布」や「クーポンの配信」だけでなく、メディア記事への配信スケジュールやSNSへの展開など、広告活動も含まれます。
商品開発をスタートする時点で厳密に設定する必要はありませんが、大まかな内容や時期は決めておくと良いでしょう。
まとめ
今回は化粧品開発における商品企画書の記載内容や作成方法についてご説明させていただきました。
化粧品OEMを利用した化粧品開発において、自社と化粧品OEM間での商品の共通認識は必ず持っておく必要があり、そのためにも商品企画書の作成は重要なファクターとなります。
商品企画書の作成を予定されている方は、是非この記事を参考にしてみてください。